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は じ め に
『倫風』誌に連載された「新・実践倫理講座」をまとめるにあたって、全体を三巻と
して、それぞれを「天の巻」
、
「地の巻」
、
「人の巻」と名付けたのには、理由があります。
「天地人」とは、文字通り天と地と人であって、天と地の間のすべて、宇宙の万象
を指します。ちなみに、この「人の巻」は、人と人の関係や人としての生き方をテー
マとして『人生を輝かす』と題しました。
それにしても、たった一二九回の連載、全三巻約一〇〇〇ページで、宇宙の万象、
この世に生起するすべての問題を取り扱ったと称するのは、いかにもおおげさに思わ
れるかも しれません。たしかに、欠 けた項目や説明すべ き事項はまだ無 数にあると
いってもよいでしょう。何より、この講座には、「大自然の摂理」とか「実践倫理」
という、いちばん大切な項目が立てられていないというご指摘があるかもしれません。
それなのになぜ、宇宙の万象、天地人であり得るのでしょうか。
すでに上梓された「天の巻」、「地の巻」をお読みいただいた方であればおわかりの
ように、私はどの講でも、「大自然の摂理からすれば」といい、「実践倫理によれば」
といって結論としています。一つの項目について、さまざまな側面から検討をするに
しても、その結論はみな「大自然の摂理からすれば」であり、その結論を具体的に私
たちの日々の生活に活かす方法は「実践倫理によれば」であるのです。
なぜなら、この世に生起するすべてのことが、大自然の摂理に発して紆余曲折した
結果であり、大自然の摂理にまで遡れば、何が正しく何が誤っているかは、おのずと
明らかであるからです。
すなわち、すべての講で語っていることが「大自然の摂理」と「実践倫理」につい
てであるのです。これが、あえてこの二つをテーマ立てしていない理由です。
この『実践倫理講座』のまとめの作業を通じて、私は宇宙の万象のすべてが大自然
の摂理に発し、大自然の摂理に帰すのだという認識を、さらに深めることになりまし
た。そして、私たちの生活を最も豊かな、仕合わせなものとするためには、大自然の
摂理を日々に活かすノウハウ、すなわち実践倫理を生き貫かなければならないという
確信を、さらに強固なものといたしました。
iiは じ め に
それと同時に、ここで取り扱った例をもって、この世に生起するすべての問題を代
表させることができると確信したのです。なぜなら、この『実践倫理講座』に取り扱
われていない事象についても、私がそうしたように、「大自然の摂理からすれば」と
考えれば結論を過つことなく、「実践倫理によれば」と、そのノウハウを想起して生
活 に 活 か す こ と が で き れ ば、 仕 合 わ せ を 実 現 で き る か ら で す。 こ れ が、 三つの巻を
天・地・人と名付けて、ここに宇宙の万象を包含するとした次第であります。
しかし、ここに語られているのは、宇宙の万象の、あるべき正しい姿でしかありま
せん。それを実際の生活に活かして、仕合わせを実現するためには、実際に大自然の
摂理に従って生きること、すなわち倫理の実践を生き貫くことが不可欠です。『実践
倫理講座』をまとめ終わった私にも、これをお読みいただく読者諸賢にも、あとはた
だ「実践」の一事があるのみです。共に、実践人生を生き貫いて、仕合わせを実現す
ることを誓い合い、全三巻の最終巻の序といたします。
平成二十二年十一月一日
上 廣 榮 治
iii目
次実践倫理講座
人の巻
人生を輝かす
第四講
第三講
第二講
第一講
第五講
第六講
目 次
第十一講
第十講
第九講
第八講
第七講
第十二講
家 族
家 族
その
二
その
二
その
一
夫 婦
夫 婦
その
二
その
一
その
一
親 子
親 子
祖 先
老 い
一
その
その
三
その
二
老 い
老 い
その
一
その
四
老 い
自 分
2
43 34 26 18 10
92 84 76 68 60
52
vi
第十三講
自 分
二
その
利己心
その
一
その
一
第十四講
自立と自律
その
二
第十六講
自立と自律
その
三
第十七講
自立と自律
その
二
第十八講
利己心
第十九講
第十五講
対 等
人間関係
その
一
第二十三講
第二十二講
第二十一講
第二十講
コミュニケーション
コミュニケーション
その
三
その
二
第二十四講
第二十五講
第二十六講
その
二
第二十七講
教 育
教 育
その
四
第二十八講
164 156
人間関係
その
二
コミュニケーション
その
一
その
一
その
三
220 212 204 196
vii
140 132 124
100
116 108
教 育
教 育
188 180 172
148
第二十九講
教 育
その
五
第三十七講
第三十六講
第三十五講
第三十四講
第三十三講
第三十二講
第三十一講
生と死
生と死
生と死
その
四
その
三
その
二
その
一
生き甲斐
生き甲斐
その
三
その
二
第三十講
第三十八講
生と死
学 ぶ
希 望
一
その
第三十九講
228
258 250
に改めました。
※ 本文中に引用した文の旧かなづかい・旧漢字は、新かなづかい・常用漢字
希 望
二
その
生き甲斐
その
一
287 276 266
320 312 304 296
240
viii大自然の摂理の下で
実践倫理講座
天の巻
善
徳福一致
苦難福門
朝起き
恩と感謝 素直 現実大肯定 気づき 喜働 孝行 礼儀 節度
幸福
三つの無駄
寛容
愛和
上機嫌の実践
倫理力
共生
まこと
節約
より善い社会へ
易・不易
地の巻
伝統
年中行事
文化
秩序
権利と義務
環境問題
個人主義
和と同
平等
宗教
公と私
自由
金銭
戦争
組織
美 余暇と遊び
普及
ix